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ソロミュージカル「ロートレック」@C aquila [演劇]


ミュージカル俳優、沢木順が制作・主演しているソロミュージカル「ロートレック(Toulouse-Lautrec: The Musical)」が今年のエディンバラ・フェスティバル・フリンジに参加しているという話をきき、面白そうなので日本語版と英語版の2公演を見比べてみました。ソロミュージカルとは、いわゆる一人芝居のようなもので、登場人物全員を一人の俳優が演じるという形式のミュージカルです。

まず、最初に英語版の公演を見たのですが、こちらは沢木さんではなくスコットランド出身のアレックス・ネスミス(Alex Nasmyth)という若手俳優が演じていました。舞台上には小型のイーゼルが2つあるだけのシンプルな舞台装置でしたが、ロートレックの生い立ちを面白くまとめ上げた台本の巧みさとメロディーの美しい音楽で語られるストーリーは退屈する部分もなく、1時間弱の公演はあっという間に終わってしまいました。貴族の血筋を守るため代々血族婚を繰り返したため、生まれつき骨がもろく背が伸びなかったトゥールーズ=ロートレックがコンプレックスを抱えながらも成長し、画家として才能を開花させていく過程についてはちょっと性格が素直すぎるような気がしましたが、短い生涯の最期、母と父への想いを語る部分などはほろりと来てしまいました。現実にここまで感動的だったかどうかは知りませんが、そこはフィクションのいい所(^^)とても清々しい気持ちで劇場を後にしました。

そして、翌日に沢木順の演じる日本語版を見ました。日本語版は英語版より更に短く、45分程度の上演時間だったように思います。元々1時間半くらいあったそうですので、上演前に沢木さんが口上として語っていた通り「想像力を駆使して」観る作品になっていました。個人的には、英語版では語られていたトゥールーズ=ロートレックの父の息子に対する言葉や、最期の親子の場面の細かいセリフなどが削られてしまっていたのが非常に残念でした。ただ、沢木さんの舞台は久しぶりだったのですが、常にエネルギッシュな熱のこもった演技は相変わらずで、このソロミュージカルの魅力は十分に伝わってきました。また、開演前の口上から観客ひとりひとりを巻き込んでいき、終演後も全員を握手で送り出す姿勢には、舞台人としての心意気を感じました。

沢木さんは、「ロートレック」の前にも「YAKUMO」という小泉八雲の生涯を描いたソロミュージカル作品を制作しています。個人的には、実は「YAKUMO」の方が好みだったりするのですが、まあそれは小泉八雲の実際の生涯が正に波乱万丈で、ロートレックのものよりも断然面白いから当然といえば当然。八雲の出身国は隣国アイルランドですし、もし次回があるのであれば、ぜひ「YAKUMO」の方もエディンバラで上演してほしい作品です。

今回の「ロートレック」は、沢木さんの英語インタビューや公演批評もかなり出ました。毎日無数の公演が行われるフリンジの中で、ここまで注目される公演は本当に限られているので、「ロートレック」はフリンジの中でもメディア注目度の高い作品のうちの一つだったということでしょう。日本語で上演されても演技で心理は伝わってくる、というような評もあり、この日本で作られた作品がエディンバラでも楽しんでもらえたのはうれしい限りです。以下にはインタビューのみリンクをしておきます。
The New Currentインタビュー
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コメント 6

Kew Gardens

のんびりしたエディンバラしか知らないので、旅行記楽しく拝見しています。

>日本語版は英語版より更に短く
日本語版のほうが、行間の理解を求められるのでしょうね。 想像力を駆使するといううのは、なかなか大変ではないでしたか? いずれにせよ、観客一人ひとりの頭のなかに、多様なロートレックが浮かび上がったことでしょう。

それにしても、短い滞在期間中、コンサート、お芝居、それに近郊散策とは、すごく充実していますねぇ~。
by Kew Gardens (2011-09-11 15:39) 

Sardanapalus

Kew Gardensさん>
>のんびりしたエディンバラしか知らない
私は最初のエディンバラ滞在がのんびりしてる時期だったので、前回初めてフェスティバル中に来たときにはその賑わいに本当に驚きました!(^^)

>観客一人ひとりの頭のなかに、多様なロートレックが
本当に、そう思います。舞台作品でそういった解釈の余地が残されている作品は好きなので、このミュージカルも楽しめました。実は、まだまだいっぱい見たので、まとめて記事にしていきたいと思います!
by Sardanapalus (2011-09-11 19:02) 

keyaki

ぜんぜん知りませんでした.....面白そうですね。
しかし、たまたま旅行中に日本人のミュージカルが見られたって、ラッキーでしたね。
YouTubeにありましたが、ソロミュージカルとは、落語みたいなもの...と言ってますね。なるほど、確かにそうですね。
http://www.youtube.com/watch?v=jpaptvLMiQg&feature=youtube_gdata_player
by keyaki (2011-09-12 01:57) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>旅行中に日本人のミュージカル
こういう偶然というか、狙っていない出会いは堪らないですね(^^)沢木さんは非常にエネルギッシュな方なので、今後もこういう作品をいくつか作ってくれるんじゃないかと期待しています。

>YouTubeにありましたが、ソロミュージカルとは、落語みたいなもの
わ、こんなビデオインタビューがあるとは知りませんでした。ご紹介ありがとうございます。落語というのは、確かに分かりやすい例えです。なんでも一人でやりますし。
by Sardanapalus (2011-09-13 20:29) 

ごま

お久しぶりです!
エディンバラでの沢木さん、一時「行こうか・・」な話も出ましたが、忙しさにかまけて「話だけ」になってしまいました。お元気に舞台をされていたようでよかったです!レポもありがとうございます!!

私はまだ見ていないのですが、英語版との違いも興味深いですね。
両親との感動的なシーンは、「想像力を駆使する」より実際に伝えてほしいかな・・・とも思います。
評判も良かったようで、沢木さんも手ごたえがあったのでは。
機会があれば見たいです。
by ごま (2011-09-15 02:34) 

Sardanapalus

ごまさん>
>忙しさにかまけて「話だけ」
やっぱり、海外旅行するときはよっぽど意識しないとやり過ごしてしまいますよね。今回は、フェスティバルの他の演目も行きたかったし、友人にも会いたかったので、初志貫徹できました(^^)

>評判も良かったようで、沢木さんも手ごたえがあったのでは。
そう思います。終演後、観客を送り出す沢木さんは終始にこやかでテンションも高く、エディンバラの観客にも「伝わっている」実感があるのかな、と思いました。YAKUMOも合わせて、何度でも再演していただきたい作品ですね。
by Sardanapalus (2011-09-15 19:19) 

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