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PROMS 2006-Prom2 モーツァルトのオペラ特集 [オペラ(実演)]

いよいよ金曜日から始まった夏のクラシック音楽の祭典、プロムス(Proms)に早速行ってきました。プログラム内容はモーツァルトのオペラ特集!去年と同様、当日立ち見券を買ったのですが、値上がりして5ポンドになってました。日本円だと約1000円なのでそれでも安いといえば安いのですが、最近のロンドンのインフレ率は物凄いですね。

プログラム前半はモーツァルト初期のオペラからアリア特集、後半は人気の後期オペラからアリア・名場面集という感じの構成になっていて、チャイナ服のおじさんことロジャー・ノリントン(Roger Norrington)の指揮、演奏はスコティッシュ・チェンバー・オーケストラ(Scottish Chamber Orchestra)でした。歌手達は皆正装で、特に演出などは無さそうでしたが、オーケストラの前にスペースがつくってあって、そこでかなり自由に動き回って歌っていました。

それぞれの曲を演奏する前に、サーの称号を疑いたくなるほどオチャメなおじさんノリントンのMCが入るのですが、これが可笑しいの何の。こんな解説付ならオペラ初心者でも楽しめること間違い無しです。でも演奏自体はいたって真面目で、「できる限りモーツァルトの時代の奏法にこだわっている」ノリントンらしい、ビブラートをかけない奏法を使ったかなりアップテンポなものでした。今回ピリオド楽器だったのはホルン、トランペット、ティンパニだけでしたが、それだけでもかなり音が変わってきて新鮮でした。

「イドメネオ」のバレエ音楽で始まった前半は、「ポントの王ミトリダーテ」「ツァイーデ」「ルチオ・シッラ」からのアリアと「後宮からの逃走」の2幕フィナーレが演奏されました。この中のハイライトは、やっぱり「後宮からの逃走」の素晴らしい重唱だったと思います。ベルモンテを歌ったイアン・ボストリッジ(Ian Bostridge)よりも、従者のベンジャミン・ヒューレット(Benjamin Hulett)の自然な演技が好印象でした。他は、美しいけれどただそれだけといった印象のイタリア語オペラのアリアに比べて、サイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)が楽譜を見ながら歌った「ツァイーデ」の'Nur mutig, mein Herze'はやっぱりカッコイイし力強い旋律が耳に残りました。でも、CDにも入れたんだから歌詞くらい覚えてきてよ(^_^;)

後半は有名オペラがずらり。大好きな「皇帝ティートの慈悲」前奏曲、「ドン・ジョヴァンニ」ドン・オッターヴィオのアリア'Dalla sua pace'、「フィガロの結婚」第3幕'Hai gia vinta la causa'+訴訟の場面、「魔笛」パミーナのアリア'Ach, Ich fuehl's'、「ドン・ジョヴァンニ」フィナーレと、正に名曲、名場面揃いです。

当然オッターヴィオはボストリッジで、退屈な美しいアリアをしっとりと歌っていました。私はどうも彼の声質が好きじゃないのですが、とっても紳士的なオッターヴィオで、会場からはブラボーの声もあがりました。ですが、この日のハイライトはこの後の「フィガロの結婚」と「ドン・ジョヴァンニ」だったと思います。

「フィガロの結婚」は伯爵のアリアからマルチェリーナ、バルトロ、フィガロ、スザンナが仲直りと親子の包容をするところまででしたが、とにかくキーンリーサイドの伯爵が歌も演技も素晴らしかったです。アリアの後半でメロディをアレンジしていて驚きましたが、この日一番大きな喝采を受けていました。訴訟の場面では、カイル・ケテルセン(Kyle Ketelsen)のフィガロよりもヒューレットのドン・クルツィオとキーンリーサイドの伯爵のコンビが、一瞬も目が離せないくらい面白かったです。特にマルチェリーナがフィガロの母親だと分かった瞬間の「「スアマ~ドレ?」」はかなり笑いを誘っていました。そのあとも伯爵がクルツィオの後頭部をひっぱたいたり、フィガロ達もキスしたり抱きあったり、スザンナは思いきり平手うちするし、という感じでこの場面はずっと笑いっぱなしでした。

そしてトリはやっぱり「ドン・ジョヴァンニ」!「フィガロの結婚」での伯爵とフィガロがジョヴァンニとレポレッロに早変わり。って見た目は燕尾服で変わらないのですが、二人共かなり芸達者なので、晩餐の場面はまたまた爆笑の嵐でした。ジョヴァンニの食事はステージ手前の植木の陰に隠してあったサンドイッチで、噛り付きながらレポレッロにもほんのちょっとだけちぎって投げてやります。その後自分もちぎったサンドイッチを頭上にポーンと投げて口でキャッチ!これには会場中が大爆笑。ワインもわざわざテイスティングしてましたし、エルヴィーラに対しては主従揃ってウンザリ顔、といった状態で騎士長の石像が登場するまで本当によく笑いました。騎士長が登場後は雰囲気も一変、ステージの真ん中で握手した状態の騎士長とジョヴァンニの押し問答は物凄い迫力で、演奏にも力があって大満足でした。その後のフィナーレ合唱はオーケストラと歌手が微妙にずれてしまったのが残念です。そうそう、騎士長がマゼットも兼ねていて、地獄落ちの直後にクルリと向きをかえて何食わぬ顔で合唱に参加していたのもどんなものかと(^_^;)

去年は結構通ったプロムスですが、今年はこの1回だけになりそうです。まあ、一晩でキーンリーサイドの伯爵とジョヴァンニが聞けたのだから、あまり贅沢は言わないほうがいいですね。ノリントンのヘンテコMC付きのこのコンサートの模様はこちらのページからこれから1週間オンデマンドで聞けます(要Real Player:ページ中程のListen again to Proms for 7days after broadcastをクリックしてください)。8月にはBBC1で映像も放送予定なので、ご覧になれる方は、何故か両脇にある控え椅子の片方がいつも満席で片方がガラカラという変な状態やジョヴァンニとレポレッロの爆笑のやり取りの数々をぜひ楽しんでください。


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コメント 7

stmargarets

昨日は会えて楽しかったです~!ありがとう!!
そして、この日記のリンク、私のブログに貼らせて頂きました。
(TBにはしなかったんだけど・・・)
by stmargarets (2006-07-17 08:14) 

一晩でキーンリーサイドの伯爵とジョヴァンニとは羨ましい!!
by (2006-07-17 20:11) 

ロンドンの椿姫

私が仕事で死にそうになってるうちに早くもプロムスが始まったんですね。
しかし悲しいかな、時間に余裕がなくて一度も行けそうにない! あ~ぁ。今年はテレビであまりやらないみたいですしね。
by ロンドンの椿姫 (2006-07-18 21:44) 

Sardanapalus

stmargaretsさん>
コンサート後も楽しかったですね~!気がついたら深夜でしたよ(笑)
リンクありがとうございます。どうせならTBしてくださいよ~。

gonさん>
正にモーツァルト漬けでした。キーンリーサイドの当たり役2つを一気に聞けて1000円は本当にプロムス様々です。

ロンドンの椿姫さん>
>仕事で死にそう
毎日お疲れ様です。私はこの暑さで死にそうです…。プロムス、今年のテレビ中継は後半が多いようです。ちなみに、このコンサートは8月に放送されますよ。
by Sardanapalus (2006-07-20 01:09) 

Belle de Nuit

レポート、ありがとうございます! 相当に楽しそうですね〜。私もネットラジオで聴きましたが、キーンリーサイド満載でうれしかったです(^^)。フィガロもドン・ジョヴァンニの場面も。ぜひ「観てみたかった」です。音だけじゃ、悶々(笑)。 しかし、燕尾服で熱演とは思いませんでした。(^^;;  こちらも、TB返しさせてください。
by Belle de Nuit (2006-07-20 22:28) 

ほんとだ、伯爵のアリアの後半のヴァリアンテ、すごいですね!おもしろい♪
by (2006-07-21 13:32) 

Sardanapalus

Belle de Nuitさん>
>相当に楽しそう
はい。この記事読み返すと、何だかずっと笑っていたようですが、実際プロムスでこんなに笑ったのは初めてです。

>燕尾服で熱演とは
そうそう、結構動くのに歌手はみな正装で大変だろうな~と思いながら見ていました。キーンリーサイドは特に汗だくでしたよ(笑)

りょーさん>
音源聞いてくださったのですね。観客の反応もいいし、音だけでも楽しんでいただけたと思います。

>伯爵のアリアの後半のヴァリアンテ
ああいうのはヴァリアンテと言うのですね。普段はそういうことをしないのでビックリでした。ガラコンサートだからかな?かっこいいし怒っているのがよく伝わってくるので気にいっていますが、二度と聞けなさそうなのが残念です。
by Sardanapalus (2006-07-23 20:36) 

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