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ローレンス・オリヴィエ賞、その他 [Keenlyside]

 ここ最近、またサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)の周辺が騒がしくなってきました。先週はウィーンで「ドン・ジョヴァンニ」、来週はミュンヘンで「ドン・ジョヴァンニ」ということで劇場でも大忙しですが、劇場以外でもDon Giovanni話題はいっぱいです。ウィーンでのジョヴァンニの初日は「シャンパン・アリア」でオケを置いてきぼりにしてしまったり(笑)したようですが、アルヴァレスのジョヴァンニでDVDにもなっている、新国立劇場とウィーン国立歌劇場共同プロダクションの一風変わった演出をどう歌ったのか非常に興味がありますね。

<追記>見てきたファンが仕入れた情報だと、何とリハーサルなしでの公演で、初日=通しリハーサルといった感じだったそうです。おいおい、ウィーン国立歌劇場はそんなのでいいの?と心配になってしまいます。歌手も指揮者もオーケストラも大変だったでしょうね~。小澤芸術監督も病気療養中だし…そんな体制でもやっていけるオペラハウスというのは逆に尊敬に値しますけど(^_^;)とりあえず、あのゴテゴテ衣装は思っていたよりも似合っているような…(笑)それから、どうでもいい話ですがマゼットには甲斐栄次郎さんという日本人の歌劇場専属歌手が出たんですね。ちなみに右の写真に写っているのはレポレッロの韓国人歌手ヨン・クァンチョル(Kwangchul Youn)です。


まずは、テレビ情報から。以前にも再放送されたコヴェント・ガーデンの「魔笛」がモーツァルト歌劇特集で再びNHK-BS2に登場です。

1月28日(土)  NHK-BS2
午前00:30~  「魔笛(Die Zauberfloete)」

指揮:コリン・デイヴィス
演出:デヴィッド・マクヴィカー

ザラストロ:フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ
夜の女王:ディアナ・ダムラウ
タミーノ:ヴィル・ハルトマン
パミーナ:ドロテア・レシュマン
パパゲーノ:サイモン・キーンリーサイド
パパゲーナ:アイリッシュ・タイナン

ロイヤル・オペラハウス(コヴェント・ガーデン)

 

Opera: February 2006次は雑誌情報です。今月号の「音楽の友」にモネ歌劇場のドン・ジョヴァンニの写真その他が載っているとか。さらに、イギリスのオペラ雑誌、その名も「オペラ(Opera)」2月号は、キーンリーサイド@ENOのビリーが表紙→です。批評ページにもぶら下がってる写真がカラー1ページで載ってますので、キーンリーサイドのファンの方は取り扱っている書店で見てみてください(笑)

それから、イギリスで最も権威のある演劇賞、2006年ローレンス・オリヴィエ賞(Laurence Olivier Award 2006)の、Outstanding Achievement in Opera部門にノミネートされました!「1984」のウィンストン役と「ビリー・バッド(Billy Budd)」のビリー役での選出のようです。ENOの「ビリー・バッド」は更にBest New Opera部門にもノミネートされています。自分も4回も行った公演がこうして評価されているのをみると嬉しいものですね。おめでとうございます!(^o^)/

そして、「ビリー・バッド」繋がりで、いつもコメントをくださるBelle de Nuitさんによる素晴らしい「ビリー・バッド」原作・オペラ比較が読める記事をMemorandumよりリンクさせていただきます。ここまでじっくりと調べてくださって、「凄い!」の一言です。原作のクラッガートは美形だったとは知りませんでした(^_^;)ということは、DVDになっているヴァン=アランの、まるでドラキュラのようなクラッガートが原作に近いんですね。各キャラクターの年齢設定、ヴィアの寿命の違いなど、興味深い点が満載です!

ビリー・バッドの比較‐1
ビリー・バッドの比較‐2
ビリー・バッドの比較‐3
ビリー・バッドの比較‐4
ビリー・バッドの比較‐5

ついでなので、公演前のRadio3のインタビューでこのオペラについて語っている部分を日本語に訳したので、こちらも載せておきます。「ビリー・バッド」が気になってしょうがない!という方にはかなり面白い内容かと思いますが、長いので興味の無い方は読まない方が身のためです(笑)

インタビュアー(以下I):サイモン・キーンリーサイドは、ENOの新公演のビリー・バッドです。サイモン、前にロイヤル・オペラでやってからは何度やってます?

キーンリーサイド(以下K):そんなに多くないですよ。え~っと、ウィーンでちょこちょこやっただけ。多分全部で4回。これが最後だから、そう、4回。

I:そうですね、4回、ウィーンの公演はロンドンのやつとはかなり違いますよね。

K:うん、いつも、俺たちにとっていつも一番大きなスリルは、まあ、俺の考えでは、一番大きなスリルのひとつは、どんな作品、どんな名作でも、その言語を喋ってる観客の前でやることだと思うんです。で、それはここに当てはまる。いいことですね。

I:そして先ほど私達の聞いた最後の暗い声は勿論ジョン・トムリンソン、この公演の極悪人クラッガートだった訳ですが、サイモンとあなたの間には善と悪の対比が非常に良く出ていると思いませんか、キャラクターの中に、ですけど。

トムリンソン(以下T):そのとおり。うん。そういう風に言われてるよね、何というか、それが全体像というか…でも、悪人を演じる時は、それを悪として考えることはあまり助けにはならないんだよね、実は。私にとってクラッガートを演じることは、悲劇的、悲劇的だ。彼は空っぽの、魂の無い存在で、権力と統制の人生を生きてきたのに、そこにビリー・バッドが放り込まれて、混乱が生じるんだ。

I:では、その善…その開けっぴろげの善性が、彼が耐えられないものなんですね。

T:そう。私は、彼はおそらくとても純粋な形でビリー・バッドに憧れていたと思う。それでも耐えられない、特にこの人物にとっては、耐えられないものだったんだ。

I:そこで彼は、正に歴史上でしばしばおこなわれてきたように、それを暴力と嫌悪の対象にするわけですね。

T:ええと、私が思うに、彼は―これは役に対する私の個人的な解釈を話しているだけだけど―彼は、ビリーが抹殺されなければ、もしくは実際そうなる通り、2人とも死ななければいけないと考えている。私はクラッガートが自分が生き残ることに執着していたとは思わないよ、ビリーとの対決はほとんど自殺的だと思うし。今朝のドレスリハーサルでは、まるで私(クラッガート)が自分を殺してもらうために彼(ビリー)を招いているかのようだったよ。何というか、『もはや生きていたくない、生は無意味だ。なぜなら彼が現れてしまったから。』って感じ。

I:そしてもちろんビリーはどもりであなたに対面することが出来なくて、もしくは対面しないだけでなく実際はあなたを殺してしまって、「善性」は消え去るわけです。サイモン、このビリー・バッドの内にあるべき善性と無防備さと輝きと、この出来事のつじつまを合わせるのは簡単なこと?

K:う~ん、俺はね、俺はビリーのことを…難しいんだけど…善性なんてどうやって演じたらいいんでしょう?結局舞台上を飛び跳ね回ることになったら、馬鹿みたいじゃないですか。俺はもっと、つまり…言いたいことは、笑い話に聞こえそうだけど、17歳の、多感な17歳の、美しい、若い男が、善じゃないことなんかあるでしょうか?彼はキリストじゃないし、彼はただの若い男で、無防備で、楽観的で、美しい若い人間で、そして、年寄り、つまりヴィアの目から見ると更に美しく見えるというわけです。俺の考えでは、そういうある種の老年代からの愛着があると思うんですよ。ヴィアの言っていることに重点を置きすぎて、彼を天使のようにしたりするけど、彼はただの若い男。クラッガートも、手の早さと気分屋だってことを話してますから。彼はただの若い男なんです。

I:まあ、その通りですね。ヴィア艦長はティモシー・ロビンソン、彼は国内外で益々活躍している注目の声で、そして最初のヴィア艦長役をやるわけですが、どう感じてますか?それとあなたはこの2人の変わった役柄に挟まれた懐古主義の老人でしょうか?この点はどう思います?

ロビンソン(以下R):ええと、善と悪っていう点に戻ると、僕は、勿論僕のことを悪役とは思っていないですね。この役をやっているときは、間違いを犯していると感じるのはとても難しいんです。当然、僕はビリーの死に直接の責任があるわけですが、僕はヴィアに対してかなりの同情を感じます。それは、彼がすべきことをした、つまりこの時代には当然、彼のとったような即断の行動が非常に求められていたわけですからね。まあ、つまり、この役の性格も含めて、僕はとても居心地がいいですね。

I:では、彼は18世紀末の海の上の王で、命令は絶対だけれども心の優しい男で、哲学者で、読書家で、そしてこの若い男の中に善を感じ、クラッガートの中にはかなりの悪を感じている、しかし法律上誰かが誰かを殺したら…と、そういうことですね。彼らは死ななきゃならない。このことに対しては、大きな罪の呵責の意識はありますか?

R:勿論、彼は彼(ビリー)の死を招いた事実によって完全に破壊されてしまいます。でも、彼の心の中ではそれに対して全く選択の余地は無いと思っています。兵曹長を殺したのはビリーで、彼は厳しい海軍規律の元に罰されなくてはならない。そこに選択の余地はありません。まあ、勿論このことはヴィアを完全に崩壊させてしまうわけです、予想通りにね。

(中略)

I:ここに面白い抜粋がありますよ、サイモン、あなたが役の捉え方について語ったこと―若い、美しい17歳というのが、どうしたら善かどうか言えるのか、そこには二分論なんてない―に関してE・M・フォスターがブリテンに、彼らが台本の全体をさらっている時に言ったことですが、「難しいことだけど、ごく一般的な、愛すべき、それと憎むべき人間が、芸術の罠を通じてごちゃごちゃに関係している。ビリーがわれわれの助っ人だが、彼も『ビリー』であって、キリストやオリオンじゃないし、私は君の音楽の方が、言葉よりもこの関係に効果的な影響を与えるだろうと思っている。」とまあ、これが正にあなたが言っていたことなんじゃないですか、とすると音楽は役柄を助けていますか?ブリテンの長調と単調の使い方とかは、演じ手が語ったり歌ったりするのが難しい事柄を、ある程度語っていますか?

K:時々、色んな人や集団によって乗っ取られてしまった役を受け持つ危険性があると思うんです。調に関しては分かりません、分からないけど、俺が気づかないうちに働いてるんじゃないかな。つまり、俺の考えでは、舞台上では、これはいつも俺たちがやってることだけど、音楽と言葉を別々にしたりしませんから、この劇を「歌う」ことは別に特殊なことだとは思いません。これは音楽付の劇なんですよ。単に自分の準備をして、乗り込んで、準備した分は翼に押し込んで、飛び立つ、っていう。こんなこと言ってると完全な作品の読み込みからはプロ意識半分くらい遠いけれど、俺の下で調に関して何が起こってるのか…書かれた通りに働くのものあり、感覚的かつ書かれた通りのものあり、歌っていることと反対の会話だったり、またそれを支持するものだったり…て感じで、調については語れないですよ。

T:多分、キリストとの唯一の共通点は、彼がある世界にやってきて、その世界が彼の存在に耐えられなくて、彼が処刑されなくてはいけなかった点でしょう。私はクラッガートとして、そういう感じの視点で彼の存在を許せないものとして見てます。ここは指摘しとく価値があると思うな。

BBC Radio3 In Tune インタビューより(英語テキストはこちら


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コメント 7

すごいすごい、ローレンス・オリヴィエ賞ノミネート、おめでとうございます。
ビリー・バットのお話もとても興味深かったです。こういう話を御伽噺としてでなく、実際にあり得る話として役者が理解すると説得力のある舞台になるでしょうね。トリムソンの役の解釈も、なるほどと思います。
>悪人を演じる時は、それを悪として考えることはあまり助けにはならない、
っていうのはありますよね。当人はそれを悪いと思ってないから始末が悪いわけなんですもんね。
うーん、しかし、こういうインタビューをテキストにする人がいて、更にそれを訳してくれる人がいて、素晴らしいです。
by (2006-01-24 14:16) 

Sardanapalus

りょーさん>
長ったらしい記事ですが、読んでくださってありがとうございます。

>ビリー・バットのお話
Belle de Nuitさんの記事と、歌手達の解釈を読んでからオペラを見ると、とっつきやすさが増しますね。

>トリムソンの役の解釈も、なるほど
あの渋い声で分かりやすく話してくれるので、聞きながら本当に「なるほどなるほど!」と一気にクラッガート寄りの視点で見るようになっていっちゃいましたよ。バイエルン国立歌劇場のホームページで見れるビデオ(OpernTV)でも、同じようなことをドイツ語で語ってますね。こっちのクラッガートは髭有りですが(笑)
http://www.bayerische.staatsoper.de/c.php/spielplan/vorstellung.php?l=de&dom=dom1&id=623
by Sardanapalus (2006-01-24 22:04) 

Belle de Nuit

あのような長い記事にリンクして下さって、ありがとうございます。

>「ビリー・バッド」が気になってしょうがない!という方
それは、私?(笑)。もう、行きがかり上という感じですが。(^^;;   
例のインタビューですが、自分では、いまいち「?」の部分もあったので、訳していただいてうれしいです。3人それぞれの解釈が興味深いですね。結論の出ない原作でもあるので、歌手自身の役への解釈が、さらにオペラに深みを与えている面もあると思います。

>自分も4回も行った公演がこうして評価
ご本人はもちろん、当初からキーンリーサイドに目を着けたSardanapalusさんもさすが! ノミネートだけでなく、ぜひ受賞して欲しいですね。

>あのゴテゴテ衣装は
似あってますね、ほんと。この角度だと、ちょっとレゴラス似?
イアン・ボストリッジのゴシック・ホラーな衣装もカッコ良さそうですね。

明日はちゃんとオペラ誌と音楽の友をチェックしなければ(^^)。
by Belle de Nuit (2006-01-24 23:26) 

Sardanapalus

Belle de Nuitさん>
>例のインタビューですが、自分では、いまいち「?」の部分もあった
所々意訳しちゃいましたけど、言ってることはこれで合ってるはずです。

>ノミネートだけでなく、ぜひ受賞して欲しいですね
「ビリー・バッド」自体は多分無いでしょうけど、Outstanding Achievementのキーンリーサイドははっきり言って大本命ですから、ぜひ獲って欲しいですね~。

>>あのゴテゴテ衣装は
>ちょっとレゴラス似?
おおっと、レゴラスとはまた高評価!確かに、いつもこれなら胸を張ってファンです!って言えそうです(笑)

>イアン・ボストリッジのゴシック・ホラーな衣装もカッコ良さそう
ドイツ語の批評にボストリッジの写真付のがありますよ。うん、DVDのシャーデよりは似合っていると思います。
http://www.wienerzeitung.at/DesktopDefault.aspx?TabID=3895&Alias=wzo&cob=215459&currentpage=0
by Sardanapalus (2006-01-25 00:19) 

Sheva

むちゃくちゃかっこいいじゃないですか~ウィーンのSimon!
ほんと似合いますね。モーツァルトのお誕生日でひっぱりだこですね。
きょうペーターマッティのジョヴァンニを見ましたが、もうぜんぜん…Simonの方が100万倍よかったです。ファンの欲目許してください。
私は昨日、ゲルギエフのチャイコを聴いてなんかすごく元気が出ました。
Billy interview,翻訳お疲れ様でした。ありがとうございます! わがままを聞いてくださってありがとうございます。Billy 受賞するといいですね~ Outstanding Achievement in Opera の方は大本命なんですか?期待大ですね。
可愛らしいSardanaさまにまたお会いしたいです。Belgiumの方にも。皆さんザルツブルグのPelleasは行くんでしょうね~激うらやましいです!!!
by Sheva (2006-01-28 02:28) 

Sardanapalus

>モーツァルトのお誕生日でひっぱりだこ
そのようですね。来週はミュンヘン、ウィーンよりはキーンリーサイドの役作りに合った演出みたいなので楽しみです♪

>Billy interview
忘れたころになってしまってすみません。
>Outstanding Achievement in Opera の方は大本命なんですか?
こっちでの反応の大きさから言って大本命でしょう。「1984」も色んな意味で大騒ぎだったし(笑)期待しちゃいます。

>皆さんザルツブルグのPelleasは行くんでしょうね~
誰かは必ず行くでしょう(笑)またファンサイトにレポートや写真が載ると思いますよ。本当に羨ましいですよねぇ~。
by Sardanapalus (2006-01-28 21:08) 

しま

こんにちは。
さっそく拝読させていただきました。
っつうか、キーンリーサイドのビリー、こんなに評価されていたんですね。
ネイビー姿もりりしいです。
こりゃやっぱCD買うべき?(アップマン盤とどちらにすべきか迷います。こうなったら両方か?)

>善性なんてどうやって演じたらいいんでしょう?
キーンリーサイドのこの言葉が大変好感が持てたりして。
とても真摯な人なんですね。
「調については語れない」という部分もそうですね。

トムリンソンの↓の発言に惚れました。

>ビリーが抹殺されなければ、もしくは実際そうなる通り、2人とも死ななければいけない

凄まじい憎悪であると同時に強烈な愛情を感じますな。
もはや心中です(`・ω・´)
やっぱりクラッガートって共感する。自分がバスだったら、まず最初にあの歌を歌いたいもの。
「おーびゅぅぅぅてぃ~~~はんさむねすぐーっね~~す」
by しま (2007-04-30 19:42) 

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