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オペラ「タンホイザー」(1):歌手編 [オペラ(実演)]

ついに行ってきました、バイエルン国立(州立)歌劇場来日公演「タンホイザー(Tannhaeuser)」!結論から言えば、私としては高いお金の元は取れたと思います。大満足で帰ってきました(^o^)

有名なオペラなのであらすじははしょります。ええと、一言で言えば欲望の赴くまま堕落して愛の女神ヴェーヌスとよろしくやっていたタンホイザーという騎士が、友人ヴォルフラムや同僚達とすったもんだの末、罪の改悛に失敗するも、最後は彼を愛する乙女エリーザベトの犠牲によって救われて息絶える話、です。これじゃあはしょりすぎですか(笑)

まあ、とにかく苦手なワーグナーの中で一番好きなオペラがこれです。とにかく序曲からカッコイイ。不幸なバリトン役(ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ)がでてくるのもポイントが高い。そして、タンホイザーは低音贔屓の私が珍しく共感できる役なのです。なぜタンホイザーだけOKなのか自分でも良く分かりませんが、とりあえず聞いていて眠くならないワーグナーはこれだけなんです。(う~ん、まだ修行が足りないんでしょうね^_^;)まあ、私のことは置いておいて、まずは歌手編です。

Shevaさんの感想で調子がいまいち?と書かれていて心配したタンホイザーのロバート・ギャンビル(Robert Gambill)は、一応声は出ていました。回復したんでしょうかね?でも、出だしはまるでバリトンのようなとっても太い声だったのでビックリ(@_@)しかも、キャリアをリリック・テノールでスタートした割には高音が細いような…。低音がしっかり出るのに、盛り上がりの高音部でいきなり声量が落ちてしまうのが残念でした。後は、ドイツ語もちょっと甘いかな?私は愛聴盤がドミンゴのタンホイザーということからも分かるとおり、あまり発音にこだわる方では無いのですが、ギャンビルは声も丸い感じなのでヴェーヌス賛歌辺りではもう少し突き抜ける感じが欲しかったです。まあ、でも「ドム・セバスティエン」のフリアノティのように思いっきり声が割れたりすることはなかったので、全体的には満足でした。かつらも似合っていたし、メイクで男前度も上がっていたし(笑)これなら説得力ありますね。

ヴェーヌス役のヴァルトラウト・マイヤー(Waltraud Meier)は、ロンドンで見たジークリンデの方が調子良かったですね。今回はちょっと苦しそうなところもありました。メロディの問題かなぁ。でも、常に強気なヴェーヌスを迫力たっぷりに演じて歌ってくれたので文句はありません。

 

この2人も良かったですが、何より今回特に素晴らしかったのは、エリーザベトのアドリアンヌ・ピエチョンカ(AdriannePieczonka)とヴォルフラム役のサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)でした。

ピエチョンカは初めて聞きましたが、つやのある声で声量もあるし、高音まで楽々出て安心して聞いていられます。演技も出来るし、スタイルもいいし、声もでるし、容姿も綺麗だし、いいですね~、こういうエリーザベト。ちゃんと意思を持った性格付けがされていて、彼女の選択に至るまでの心の動きなども良くでていたと思います。これからも機会があったらぜひ聴きたい歌手です。

そして、今回の目的でもあったキーンリーサイド、彼のヴォルフラムは初体験。同じ演出の映像のベルント・ヴァイクル(Bernd Weikl)(右写真)とは余りにもイメージが違うので、どういう感じなのか全く分からないまま見に行きました。そしたら、彼っぽい神経質なヴォルフラムでした。好みの役作りで嬉しかったです!でも、何より驚いたのはかつらです。その写真が無いのが残念極まりないですが、ミュンヘンでの公演での地毛の写真を見ていたので、今回は出てきた時に思わず噴き出しそうになりました(^_^;)なんじゃあのぼさっとした長髪!(笑)なるほど~、あの髪に眼鏡でノーメークならオタクっぽくてダサい、もやし君詩人の一丁あがりです。これじゃエリーザベトも見向きもしないわ。うれしいことに評判のいい歌の方は期待通り、やっぱりこの表現力豊かな声が好きですね。CDや映像では「歌合戦のヴォルフラムの歌ってつまらないな~」と思っていたのですが、さすがキーンリーサイド、歌合戦の観客へのおべっか(笑)と歌自体でもトーンを変えてきて、どんなことを歌っているのかすぐに分かって新鮮でした。特に、全く記憶に残っていなかった、ビテロルフの反論の後、争いを収めようとする短い祈りの激しさは鳥肌が立つほど感動的でした!歌合戦は演技からも目が離せなくて、エリーザベトに指名されて眼鏡をコートで拭いたり、タンホイザーに反論されれば「何だとぅ~」とじろりと振り返ったり、祈りの後もタンホイザーの歌にイライラして手帳を荒々しくめくり、ペンをつき刺したり、エリーザベトがタンホイザーを庇いに入ればそのエリーザベトを守ろうと懸命だし、とりあえず一時もじっとしてなかったです。正に期待通り(笑)これだから生のオペラはやめられないですね~☆

他は、ヘルマン役のクルト・モル(Kurt Moll)の代役マッティ・サルミネン(Matti Salminen)が重厚なバスで良かったです(おっと、愛聴しているCDでもヘルマンでした)。高音がちょっと怪しかったですけど、それを補って余りある威厳がありました。マイスタージンガーにも出ているんですよね?あまり歌わないとはいえ凄いスケジュールだなぁ。

今回一番印象に残ったのはエリーザベトとヴォルフラムのからみ、つまり3幕の第1、2場。普通に演劇見ているみたいでした。

タンホイザーのために祈り続けるエリーザベトを心配そうに見守るヴォルフラム(何故かここは字幕の一人称が「僕」だった^_^;)、帰ってくる巡礼たち、必死でタンホイザーを探すエリーザベト、慌てて見つからないように隠れる(というか上手の字幕電光掲示板の下に突っ伏す)ヴォルフラム、タンホイザーが帰らず失望したエリーザベトは自らを犠牲にすることを決意し、「送らせてください」と頼むヴォルフラムにタンホイザーの残していった楽譜を渡して一人で去って行く…

ここで、楽譜を渡そうとするエリーザベトの手を握ってなかなか離さないヴォルフラムの泣きそうな顔と困っているエリーザベトに重なるワーグナーお得意の旋律…オペラの歌のないシーンでこんなに感動したのは初めてです。この後、全てを理解して呆然と立ち尽くし、もらった楽譜も自分の手帳も放心状態で取り落とし、自分で担いできた白いドア(理由は不明^_^;)に無数に貼られた詩を破り捨て、夕星に向かって彼女への思いと平安を祈るヴォルフラム。やっぱり「夕星の歌」は素晴らしいです。ワーグナーありがとう。まあ、夕星=金星=ヴェーヌスに祈っている段階で駄目じゃん!なんですけどね、そんなツッコミは置いといて、この曲は本当に名曲だと思います。そうそう、歌い終わった後、つっぷして号泣するのですが、初日とは違って今回は一発でハンカチ(?)を発見して、無事に涙を拭いていましたよ(笑)

終わりよければ全てよし、とは一概には言えませんが、やっぱり最後が盛り上がると見終わった後の感動が違いますよね。今回の公演の第3幕の出来は文句なしです(^o^)「静」の1、2場の後の第3場のテーマは、「動」でした。と言うくらい激しかった。罪を許されないまま帰ってきたやけっぱちタンホイザーと堪忍袋の緒が切れたヴォルフラムのやり取りが演技も歌も充実していて良かったです~。ちょっと笑っちゃうところもありましたが、それくらいやってくれた方が好きです(笑)初日の様子はShevaさんがしっかり書いてくれていますが、今回はキーンリーサイドのジャンプはありませんでした。な~んだ、とっっっても残念!!その代わり?すがり付いて引きずられてましたけど(笑)

<個人的なツボの数々>

ヴォルフラム「ローマへは行かなかったのか!?」
胸倉つかんで、本気で怒ってますよ、ヴォルフラム。やっぱりここはこういう緊迫感があって欲しいですね~。エリーザベトはこんな奴のために死んじゃうわけですからね。「そうだそうだ、ヴォルフラム!言ってやれ!!」と応援したくなります。訳ありのタンホイザーもここは思いっきり壊れてます。っていうか、会話が成立してません(笑)

タンホイザー「ヴォルフラム、聞いてくれ!」
待ってました「ローマ語り」。そう言うわりには「近寄るな!」と突き放すし(ヴォルフラム、ここは初日同様大の字にぶっ倒れてました)。何するんだ!という顔のヴォルフラムをよそに勝手に喋りまくる(歌いまくる)タンホイザー、ヴォルフラムを抱きしめたり、膝をつかせたり、腕をねじりあげたり、歌いながらもなかなか忙しいです(笑)ヴォルフラムは「聞かせてくれ」と言ったばかりにとんだ災難ですね。

タンホイザー「ヴェーヌスよ、道を示してくれ!」
いよいよこの段階になると、動きも活性化(笑)今度はヴォルフラムがタンホイザーに後ろからすがってひきとめようとします。が、タンホイザーの方が一回り大きいので、ヴェーヌスベルクに入らないように後ろからひきとめようとしていても説得力がないというか、そのままタンホイザーがヴォルフラムを背中にくっつけていっちゃいそうな感じでした(笑)いよいよヴェーヌスが出てくると、もう大変です。タンホイザーは大喜びだし、ヴォルフラムはのた打ち回るし(一回転した時には隣の客が失笑してました^_^;)、マイヤーは怪しい光線出してるし、3人しかいないのにどこ見たら良いか分からなかったですよ。ヴォルフラムの「エリーザベト!」まで盛り上がっていくここの二重唱→三重唱は、特に気に入っている第3幕の中でも一番好きな部分です。今回は納得のできるキャストで良かった♪


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コメント 4

euridice

最安席から観た、独断と偏見の感想を載せましたので、TBしました。
何はともあれ、行けてよかった、幸せ・・です^^! 
by euridice (2005-09-30 10:49) 

Sardanapalus

euridiceさん>
わ~い、感想待ってました!TBありがとうございます。見切れてしまう席で残念でしたね。オールデンの演出、実際見たほうが映像よりも好印象でした。

>独断と偏見
そ、そんなこといったら私の感想なんて独断と偏見の嵐ですけど(笑)
by Sardanapalus (2005-09-30 11:46) 

みど

初コメです。
いいなぁ。私も観たかったです。
こうして出演者の写真をみているとオペラも随分、見かけのいい歌い手が増えたなぁって実感しますよね。
また、遊びにきまぁす。
by みど (2005-10-18 03:28) 

Sardanapalus

みどさん>
はじめまして!コメントありがとうございます。来日公演は高いですけど、これは頑張って見に行った甲斐がありました。

>見かけのいい歌い手が増えたなぁ
本当ですね。特に最近の若手女性歌手は皆さんお美しいと思います。まあ、絶世の美女とか、美男子とかの設定の役も多いので個人的に綺麗どころがいっぱいいてくれた方が嬉しいですけどね(笑)

ぜひまたコメントもお願いしますね~。
by Sardanapalus (2005-10-18 06:46) 

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