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売れっ子オペラ演出家、デイヴィッド・マクヴィカーについて [オペラ(音源・映像・その他)]

最近のオペラ関係の記事のコメント欄で、スコットランドのカリスマ(?)演出家デイヴィッド・マクヴィカー(David McVicar)に触れることが多かったので、彼についてちょっと調べてみました。

スコットランドはグラスゴー(Glasgow)出身。恵まれない少年時代を経て、グラスゴー・スクール・オブ・アート(Glasgow School of Art)とロイヤル・スコティッシュ・アカデミー(Royal Scottish Academy of Music and Drama)で俳優・デザイナー・演出家を勉強。1993年にオペラ・ノース(Opera North)の「羊飼いの王(Il Re pastore)」でオペラ演出デビュー、現在に至ります。ちなみに、ゲイでHIVポジティヴであることを公言しています。直訳すれば「牧師の息子(McVicar)」という苗字とは相容れない、放送禁止用語連発で性格の出ている英語インタビューはこちら(Seen&Heard)。いきなりラッセル・ワトソン(Russell Watson)シャルロット・チャーチ(Charlotte Church)の強烈な批判から始まるので目が覚めます(笑)('Its fu*k-all to do with Russell Watson and Charlotte fu*king Church - they're entertaining the Saga holiday crowd.'…放送禁止用語は伏字にしました)なかなか激し…いや、正直な性格ですね。さすがグラスヴェジアン(グラスゴー出身者のこと)。

「演劇としてのオペラ」を強く意識した、基本のストーリーを尊重しながらも現代の若い観客層に魅力的な要素を積極的に取り入れたテンポの良い演出が人気です。演出するオペラの歌を全て覚えてきて、リハーサルでは自分が歌いながら動いて歌手に動きを指示するやり方のようです。コヴェント・ガーデン、イングリッシュ・ナショナル・オペラ、スコティッシュ・オペラなどのイギリス国内をはじめ、ブリュッセル、コペンハーゲンなどのヨーロッパの都市の歌劇場を中心に活躍し、グラインドボーンやザルツブルクのフェスティバルからも声がかかる、正に超売れっ子の演出家。2002年にはイギリスの演劇賞オリヴィエ・アワーズ(Olivier Awards)にロイヤル・オペラの「リゴレット(Rigoletto)」とイングリッシュ・ナショナル・オペラの「ルクレツィアの略奪(The Rape of Lucretia)」の2作が同時にノミネートされました。歌手を普通の役者並みに動かし、ゴシックとバロックを足して2で割らないような(笑)豪華で時代がかった衣装と舞台装置を使い、デカダンで暗~いトーンや照明効果を多用するのが彼の特徴なので、保守的な批評家からは「ミュージカルみたい」と嫌われていたりします。私はこういった傾向大賛成なので、もっとどんどん演出して欲しいです(笑)

Die Zauberflote / (Dol) 彼の演出には「薬物、暴力、セックス」の三大放送タブーが満載にも拘らず、特にコヴェント・ガーデンの作品は順次DVDになっていますね。「リゴレット」(2002年発売)はこちらのコメント欄で放送タブーの話で盛り上がりました(笑)キャストも良いですし、ゴキブリリゴレットが見たい方はぜひ。マクヴィカーの演出を見たことが無い方には、力強いタミーノ、おてんばパミーナ、奥の深いパパゲーノ、白人のモノスタトスといったキャラクター設定以外はかなり無難で歌手のレベルも高い「魔笛」Carmen (2pc)(2003年発売)がお勧めです。他は、こちらも初心者に お勧めできそうな、グラインドボーンの「カルメン」(2003年発売)と、免疫のある人向け(笑)ザルツブルクの「ホフマン物語」が今年中にDVD発売予定(とどこかで見ました)。

そういえば、コヴェント・ガーデンの演出の中で、2004年のアラーニャ、ゲオルギュー、ターフェル、キーンリーサイドのオールスターキャストの「ファウスト」だけ何故かなかなか出ませんけど、どこかの版権で揉めてるんですかね(思いっきりミュージカル「キャバレー」とかぶってたからクレームがついたかな?)とりあえず、BBCの放送ではゴールデンタイムにも関わらず薬もセックスもばっちり写していました。イギリスの規制はゆるい…訳は無いと思いますが、生中継だから知らなかったとかではないでしょう。「芸術」ということでOKなのかな。側転するファウスト、とんぼをきるヴァレンティン、飛んでくる槍を軽々と掴むメフィストフェレス、の曲芸シーン達(笑)だけでもDVDにする価値があると思うんですけどね。あ~もしかしたら、ターフェルのドレス姿がひっかかってるのかもしれません。ティアラまでつけちゃって、ものすごいインパクトなんですよ(^_^;)


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euridice

この演出家、どういう人だかは全然知らなかった・・・ なるほどねぇ・・ 「リゴレット」「魔笛」「カルメン」「ホフマン物語」を映像で観ています。「リゴレット」が一番かな? 「カルメン」はそれほどインパクトがなかったような・・・ 「ファウスト」ぜひDVD化してほしいですね。「ターフェルのドレス姿」うわさには聞いています^^;
by euridice (2005-06-29 10:59) 

keyaki

デイヴィッド・マクヴィカーの情報、ありがとうございます。
>「演劇としてのオペラ」を強く意識した、基本のストーリーを尊重しながらも・・
>歌手を普通の役者並みに動かし、・・・豪華で時代がかった衣装と舞台装置を使い・・・・
ザルツブルグの「ホフマン物語」の時は、ライモンディファンの間では、演出によっては、キャンセルする可能性大ですので、心配しましたが、やっぱりこういう考えの演出家とは意気投合しますね。普段彼がインタビューで語っているオペラの演出のあるべき形にピッタリはまってますもの。ライモンディに言わせれば、マクヴィカー氏は頭がいいということですね。

ホフマン役のシコフは、演技派を自認しているそうですが、私はホントカヨ!でしたが、いつものシコフのくせもみられず、熱演でしたので、やればできるじゃないの・・とみなおしちゃいました。マクヴィカーの演技指導の賜物だと思いましたネ。
私のグログでも書きましたが、シコフが体調不良で一日だけキャンセルした時は、なんとマクヴィカーが舞台で演じて、代役の歌手は、舞台袖で歌ったそうです。たまたまその日の公演を見たライモンディファンによれば、声が違うところから聞こえるので、ちょっと違和感があったそうですが、素晴らしかったという報告がありました。それとなぜかカツラはつけてなかったそうです。

>ザルツブルクの「ホフマン物語」が今年中にDVD発売予定です。
わーー、ほんとですか、テレビの録画は見てますが、嬉しいですね。
by keyaki (2005-06-29 14:55) 

Sardanapalus

euridiceさん>
>「ファウスト」ぜひDVD化
私もテレビ録画しかないのでを待ってるんですけどね~。なかなかです。ターフェルのドレスは本当に色んな意味で凄いですよ。まあ、この場合はドレスが似合いそうな人ではあの独特な雰囲気が出ないと思いますけど。

keyakiさん>
>やっぱりこういう考えの演出家とは意気投合
そういう歌手が私は好きですね~。見た中では特に「ファウスト」が、メインキャスト達が演技もする人たちなので「オペラ」というより正に「演劇」でした。(マシュー・ボーンの「白鳥の湖」くらいのインパクトがあると思います)シコフ氏は、まだ映像でも見たことが無いでコメント出来ませんが…マクヴィカーの要求に応えれるなら充分「演技派」じゃないですかね?(笑)

>マクヴィカー氏は頭がいい
演出に対するどんな質問でもはっきり答えが返ってくるということを聞きました。マクヴィカーは真剣にオペラの内容を読み込んで演出しているので、ライモンディも納得して出演したのではないでしょうか。これからも共演(?)してくれると嬉しいな♪

「ホフマン物語」のDVD化は、以前ネットサーフィンしていて見た覚えがあるのですが、日付とかはまだ未定だった気がします。常に発売日があいまいなオペラのDVDということで、気を長くして待ってみてください。また調べてみます。
by Sardanapalus (2005-06-29 19:42) 

dognorah

こんにちは。私のブログでもコメントしましたが、こちらにもTBさせていただきます。マクヴィカーはいつも衝撃的なことを期待しつつ見ていましたが、カルメンでは登場人物に対する性格解説が深く掘り下げられ、それはそれで感銘しました。それに基づいて演技を要求するから歌手も納得して従うのでしょうね。
ところで、イギリスではTVでは男女とも全裸でよく出てくるので規制はないのでしょう。BBCで男女の性器をアップした映像(性病関連や整形手術関連ではありましたが)を難度も見たことがあります。この事情はほとんどの欧州で同様でしょう。
「ファウスト」はDVD化されていないことは知りませんでした。舞台で見ましたがすばらしい出来でしたよね。特にBryn Terfelが快調でゲオルギューもアラーニャも完全に食われて影が薄かったくらいです。出演者の契約問題で、どこかの会社がごねているのかもしれませんね。
by dognorah (2005-06-29 21:17) 

Sardanapalus

dognorahさん>
TBありがとうございます。今度カルメンも見てみますね。

>いつも衝撃的なことを期待
そうですね、私も「今回はどんなかな~?また薬出てくるかな?」とか変なこと期待しちゃったりします(笑)私の初体験はありがたいことに「魔笛」だったので、すんなり好きになれたというか…個人的に「魔笛」のキャラクター読み替えはとても説得力があって楽しかったんですね。「そういう考え方もあるね!」って感じで。台詞が最小限でダレないのも良かったですし。「リゴレット」や「ファウスト」だったらまたちょっと印象が違ったと思います。どっちにしろ好きなタイプの演出ですけど。

何とタイミングの良いことに、今週はグラインドボーンで彼の「ジューリオ・チェーザレ」が開幕ですね。今日のガーディアン紙にインタビュー記事が載ってました。相変わらずはっきりした物言いですが、演出について興味深い話をしていますのでリンクを貼っておきます。
http://www.guardian.co.uk/arts/features/story/0,11710,1516727,00.html
by Sardanapalus (2005-06-30 00:36) 

dognorah

情報ありがとうございます。監督というのはこれくらい確信に満ちた物言いでないと勤まらない気がします。俺のやり方は他の監督とは違うんだ、といっていますがそれだからこそ個性的な舞台が作れるのでしょう。しかしヘンデルのオペラとはねー。
by dognorah (2005-07-02 07:14) 

keyaki

バレンシアのファウストの「ワルプルギスの夜」のシーン写真を見ていて、さすが、マクヴィカーと改めて感心しました。妊婦さんいじめは悪趣味ですけどね。こちらの記事をリンクさせていただきましたので、よろしくお願いします。
写真はいっぱいあっても音声ファイルがゼロですので、仕方なくた―フェルとアラーニャ、ライモンディまでBGMにしちゃいました。(笑

by keyaki (2009-03-29 02:36) 

Sardanapalus

keyakiさん>
昔の記事ですがリンクありがとうございます。少しでも参考になればと思います。音楽ファイル聴きながら写真を見ると、脳内で変換できますね(笑)

>バレンシアのファウストの「ワルプルギスの夜」のシーン写真を見ていて、さすが、マクヴィカーと改めて感心しました。妊婦さんいじめは悪趣味
改めて見直すと、メフィストってファウストいじめすぎ、と思いますね。わざわざファウストが後悔している事柄をほじくりかえしてますからね。役者達(手下達?)にファウストとマルガレーテの出会いから現在までのダイジェストを振付けたり、死んでるヴァレンティンを墓からわざわざ掘り起こして使ってますからね。手が込んでますね。
by Sardanapalus (2009-03-31 20:59) 

adriana

はじめまして。新参のオペラファンです。
(以前から楽しみに読ませていただいておりましたが、コメントをかくのは初めてです)
最近はじめたブログで、METのアンナ・ボレーナにともない、デヴィッド・マクヴィガーについて調べていて、このページを参考にさせていただいたので、ご挨拶したく、書き込みました。
(演出家について調べるのは、歌手について調べるより、ちょっとむつかしいですね。)

今後ともよろしくお願いします。
by adriana (2011-11-06 23:54) 

Sardanapalus

adrianaさん>
はじめまして!コメントありがとうございます~。マクヴィカー気になっていらっしゃるのですね?マクヴィカー好きとしてはとても嬉しいです。しかも、こんな記事でも参考にしていただけたとは、まさに感無量です。

これからも、ぜひ遊びに来て、コメントしていってくださいね~。
by Sardanapalus (2011-11-07 23:58) 

adriana

Sardanapalusさん
わたしのブログを読んで、コメントまでいただいてありがとうございました。
是非今後は、新らしい記事にもコメントさせていただきます!
それではまた~。
by adriana (2011-11-08 00:54) 

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