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オペラ「マクベス」@ROH [オペラ(実演)]

5月24日に、ROHの「マクベス」初日を見てきました。サイモン・キーンリーサイドのマクベスは観たいと思いながら、ロール・デビューウィーンでの上演は、あまりにも演出が酷すぎるという評判を読んで(既にお蔵入りだそうです)、今回のロンドンでの上演を待つことにしました。こちらの演出も、特に評価が高いわけではないですが一応シェイクスピアの国ですし、写真で見ると場面ごとに衣装も変わるようで、それだけでも面白そうじゃないですか。マクベス夫人の着物風の袖のドレスやマクベスの柔道着(というかスターウォーズのジェダイですかね)も突っ込みどころですが、黒いドレスに赤いターバン、そして太い一文字眉という姿の魔女達もなかなかすごいです。(衣装については、intermezzoさんのブログ上に舞台写真が沢山掲載されています)


カーテンコールの様子1


今回は6月13日に映画館への生中継もあるということでか、実力のある歌手を集めた上演になっています。中でも私が期待していたのはリュドミラ・モナスティルスカ(Liudmyla Monastyrska)の歌うマクベス夫人でした。つい最近、ROHの「アイーダ」でも急な代役でアイーダを全公演歌いきった実力の持ち主で、リハーサルでも好評だった彼女ですが、実際に聴いてみて、その好評の訳はすぐに分かりました。とにかく、音域の上から下まで楽々歌えますし、テクニックもしっかりしています。更に、表現の幅も広く、フォルテとピアノの使い分けも上手い!これで、もう少し演技力がつけば…とは思いますが、今の状態をキープできれば、近いうちに各地で大活躍できる歌手だと思います。ちょっと太めの体型も手伝って、野心がぎらぎらとあふれでる力強いマクベス夫人でした。やっぱりこの役はこれくらい歌える人でないと、作品が締まりませんね。

さて、そんな強気な夫人をもったマクベスですが、サイモン・キーンリーサイドはかなり知性や理性を感じさせる役作りで、本能のままに突き進む夫人と好対照な主人公でした。ジェダイみたいな格好とあごひげも、何となく賢そうに見えた要因かしら?(笑)そんなこといっても突発的に王様を殺して王位を奪い、その後は保身に回って悪政を行い、最期は成敗されるわけですから、あまり知的とはいえないんですけども(頭よければ、もっと手の込んだやり方で王位を手にするでしょう)。魔女の予言に惑わされて、勢いで王様を殺してしまってから後悔し、その後は常に怯えながらも権力にしがみついて次々と粛清を行う小心者としてのマクベスをしっかり演じてくれるキーンリーサイドはさすがです。気になる左腕はまだごついサポーターをつけていましたが、ほとんど不自由なく動かせるようで、オペラが進むうちに気にならなくなっていきました。遠くから見ただけなら衣装の一部と思ったかもしれません。歌唱のほうも、細かい部分まで丁寧に歌っていて、特に'Pieta, rispetto, amore'のアリアはマクベスの孤独がしみじみと感じられて、自業自得とは言え思わず同情してしまいました。
とにかくこの主役2人が素晴らしかったですが、バンクォーやマクダフも好演していましたし、パッパーノの指揮とオーケストラも、何度か危なっかしい部分もありましたがよくコントロールされた演奏だったと思います。演出も、大絶賛とはいきませんが、ストーリーに沿って展開していって、細かい部分にも意識が行き届いていたと思います。手を洗うのが蛇口の水だったのは盛り上がりに欠けてかなり残念でしたけど、それなりに楽しめる演出でした。まだこれから1ヶ月、映像中継も含めて8公演残っていますので、皆さんこの調子で最後まで乗り切って欲しいと思います。



カーテンコールの様子2


Macbeth
Simon Keenlyside

Lady Macbeth
Liudmyla Monastyrska

Macduff
Dimitri Pittas

Banquo
Raymond Aceto

Malcolm
Steven Ebel

Lady-in-waiting
Elisabeth Meister

Doctor
Lukas Jakobski


Conductor
Antonio Pappano

Orchestra and Chorus of Covent Garden
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コメント 8

Sheva

ありがとうございます。私もIntermezzoさんの写真をさっそく見てきたんですが、表情が違いますよね~!さすがKeenlyside。もう、なんつーか、別人でした!やっぱりシェークスピアではサイモンは別格ですよね。どうでしたか?実際ご覧になって。本人がシェークスピアじゃない!ってハムレットの時は言ってましたが。
マクベス夫人がLady Liudmyla と大絶賛されていましたね。そんなすごい大型新人の登場なのですね。
by Sheva (2011-05-26 08:56) 

Kew Gardens

鑑賞直後、ほやほやのレポートですね! ありがとうございます。 演出は別としても、肝心の歌手がそろって、オケもなんとか演奏している公演なんて、羨ましい(お蔵入りを見てしまった私・・・・)

シェークスピアの悪役では、イアーゴ(オテロ)、リチャード3世(同名)に比べると、人間味があるというか、小心者マクベスと印象を持っています。 オペラといえども、Keenlysideは原作を意識した役作りをしているのかしら?また、マクベス夫人との関係はどうなのかしら? 最初はかなり濃厚夫婦だったと思うのですが、写真を見る限りケミストリーがあるのかどうか、わかりませんでした。 まだ8回も公演があるから、それは徐々に変わっていくのかもしれませんね。 

いずれにせよ、続報楽しみにしています!
by Kew Gardens (2011-05-26 12:48) 

Sardanapalus

Shevaさん>
早速のコメントありがとうございます!キーンリーサイドのマクベスは、私の予想に近かったです。軍人としては有能で頼られる存在だけれども、何をしても「小物」感が漂っていて王になる器ではないという感じでしたよ。声も、キーンリーサイドにしては重めにしていましたから、ラジオ放送を楽しみにしていてくださいね。

>Lady Liudmyla と大絶賛
そう、彼女は素晴らしかったです。ヴェルディの重たい役をこれだけ歌える歌手は最近なかなかいないですね。まだこれから何度か聞けるのがとても楽しみです!
by Sardanapalus (2011-05-27 02:03) 

Sardanapalus

Kew Gardensさん>
>演出は別としても、肝心の歌手がそろって、オケもなんとか演奏している公演なんて、羨ましい(お蔵入りを見てしまった私・・・・)
実は、直前に予習と思ってそのウィーンのラジオ放送の音源を聞いていたのですが、この公演を聞いた後では完成度が違いすぎて聞きたくなくなりました(^_^;)お蔵入り、観たことをネタに出来るじゃないですか~。でも、高いお金払ってあんな演出見せられたらたまりませんね。ぜひロンドンでリベンジを果たしてください!

>シェークスピアの悪役では、イアーゴ(オテロ)、リチャード3世(同名)に比べると、人間味がある
そうそう、そのとおりですよね。ダンカン王を殺してから物音にびくついたり、不安に耐えられなくなって魔女達にもう一回予言を聞きに戻ったり、堂々としてればいいのに「悪」になりきれないんですよね。キーンリーサイドは原作のマクベスをかなり意識していると思います。初日の夫婦仲は、最初はそこそこいちゃついていましたが王位の話が出てからは二人ともそっちに気が取られてしまって、親密さというのはあまり感じられませんでした。今後、公演が進むにつれてどう変化するか楽しみです。明日の公演も見に行く予定ですので、また記事にしたいと思います。

by Sardanapalus (2011-05-27 02:20) 

名古屋のおやじ

USアマゾンからブルーレイが到着。見始めました。マクベス夫人と指揮が良いですね。特に前者はびっくりしました。歌も面構えも、あっぱれなものです。彼女の歌い方は、アイーダ以上に『ナブッコ』のアビガイッレにぴったりなはずですが、あれを歌うと喉に負担がかかるしなあ。この役のオファーが来たカバリエにカラスが、バカラのグラスに石を入れて振るようなもの、と言ったとかいうカバリエのインタヴューを読んだように思うけど、記憶違いかも。
by 名古屋のおやじ (2012-04-10 12:35) 

Sardanapalus

名古屋のおやじさん>
>マクベス夫人と指揮が良いですね。特に前者はびっくり
お勧めしている歌手を気に入っていただけて嬉しいです!本当に、モナスティルスカは素晴らしかったです。個人的には、もう少し演技が上手ければ文句なしなのですが、今のままでも喜んで聴きに行きます♪

>彼女の歌い方は、アイーダ以上に『ナブッコ』のアビガイッレにぴったり
アイーダはまた別の歌い方をしているそうなので、来シーズンのMETからの中継をぜひ聞いてみようと思います。アビガイッレも似合いそうですけど、あまり負担のかかる役ばかり歌い過ぎないように慎重にキャリアを重ねて欲しいと思います。
by Sardanapalus (2012-04-12 22:03) 

名古屋のおやじ

彼女、スカラ座の『ナブッコ』のアビガイッレにキャスティングされたようですね。同じことを考える人は、いるもんです。やっぱり。
by 名古屋のおやじ (2012-04-26 06:04) 

Kew Gardens

名古屋のおやじさん、

>スカラ座の『ナブッコ』のアビガイッレにキャスティング
彼女は、来シーズン、ROH, La ScalaでNabucco, METとLa ScalaでAidaと大きな歌劇場でひっぱりだこですよ。 
by Kew Gardens (2012-04-26 19:19) 

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