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オペラ「セヴィリアの理髪師」@ROH [オペラ(実演)]

7月のロイヤル・オペラハウス一番のお勧めは、豪華キャストの揃った「セヴィリアの理髪師(Il Barbiere di Siviglia)」の再演です。あらすじなどは2005年初演時のブログ記事をご覧ください。(そういえばこれがディドナート初体験だったんですよねぇ…いまじゃすっかりファンですけど。)

もともとキーンリーサイドがキャンセルしたりフローレスが公演日を減らしたりと、どたばたと開幕した今回の「セヴィリアの理髪師」ですが、更に初日にも大きなアクシデントが起こってしまいました。なんと、ロジーナ役のジョイス・ディドナート(Joyce DiDonato)が舞台上で転び、右足の腓骨を骨折してしまったのです!(詳しくは彼女のブログをご覧ください)

最初にこのニュースを聞いたときには本当に驚いたのと同時に、ディドナートも残りの公演をキャンセルしてしまうのではないかと非常に心配でした。と・こ・ろ・が!素晴らしいプロ精神の持ち主の彼女は残りの公演も歌うことを選択し、演出家達をはじめ他の歌手が協力して車椅子を使っての上演が決定したのです。そして、とても珍しい車椅子のロジーナが誕生したわけですが、結果としては大成功☆だったと思います。

当然、車椅子ですから動きも制限されますし、話の展開や演出プランにはまりきらない部分も多かったですが、そういった欠点を補って余りある歌唱とできる限りの演技で大喝采を浴びていました。やはりディドナートは現時点で最高のロジーナですね。特にこのロイヤル・オペラの楽しくてポップな演出のロジーナには良く似合っているし、本当に歌ってくれて嬉しいです~。残りの公演も、足に負担が掛からないようにしながら乗り切って欲しいです。

そして、素晴らしかったのは彼女だけではありません。一番の喝采を浴びたのはアルマヴィーヴァ伯爵のファン・ディエゴ・フローレス(Juan Diego Florez)。今まで何度か映像で伯爵を歌うのを見たことがありますが、今回の演出が一番生き生きしていて、楽しんで歌っているように見えました。歌えば魅力的なコロラトゥーラを響かせてくれますし、酔った兵隊や音楽教師に変装しているときの演技も面白くて、本当にはまり役だと思いました。期待していた"Cessa di piu resistere"には、ついついぽかーんと口を空けたまま聴き入ってしまいました…実際に聴くととても人間業とは思えないですね(^_^;)もちろん、アリアの後はブラボーと拍手・足踏みの嵐でした。ロイヤル・オペラがここまで騒がしくなるのはとても珍しいことですが、それも納得の歌唱でした。

それから、キーンリーサイドの代わりに急遽フィガロを歌うことになったピエトロ・スパニョーリ(Pietro Spagnoli)ですが、「フィガロっぽい」雰囲気が満点で小芝居も上手いのでいっぱい笑わせてもらいました。力みすぎたか出だしでちょっとオーケストラとずれてしまったところがありましたが、他はやり慣れているフィガロ役ということで隅々まで意識の行き届いた役作りでした。映像だと気になっていたフローレスとの声の相性も、今回のパッパーノのテンポでは気にならず、大好きな2重唱を堪能できました♪それと、やはりイタリア人のフィガロは細かい台詞も聞き取りやすくていいですね。結構がっしりとした背の高いスパニョーリには、オーバーオールの衣装が良く似合ってました(^^)誰ですか、スーパー〇リオみたいだなんて言っている人は!?

いつものロイヤル・オペラならこの辺りでお金が足りなくなって(?)他は標準レベルの歌手を集めてきたりするのですが、今回はちょっと違います。何せバジリオ役にフルッチョ・フルラネット(Ferruccio Furlanetto)、バルトロ役にアレッサンドロ・コルベッリ(Alessandro Corbelli)ですから!フルラネットはコメディセンスが抜群だと思うので、いつか面白い役で見てみたいとは思っていましたが、このバジリオで思う存分大笑いさせてもらいました。歌えばメガトン級の声が響き渡り、動けば気持ち悪さが爆発(褒めています^^)、最近は若い歌手がバジリオをやることも多いようですが、やはりこの役は熟年の歌手にやってもらうのがぴったりですね。それから、もう一人コメディの要素として大切なバルトロですが、こういう役にぴったりのコルベッリということで最初から心配はありませんでした。早口アリアはもちろんしっかりと歌いきり、更には演技でも笑いを取り、嫌味なじいさんを好演していました。それにしても2人とも楽しそうでしたねぇ。こうしたベテランのしっかりとした支えがあるからこそ、若手の歌手たちも十分に実力を発揮できるというものですよね。

他にも、ベルタやフィオレッロ(アルマヴィーヴァ伯爵の召使)にいたるまで、役からはみ出していたりノリ切れていない歌手はひとりもおらず、隅々までオペラの世界を楽しむことができました。素晴らしい公演の後は、本当に幸せな気分になれますね☆次の公演日の10日が今から待ち遠しいです。

この日の公演の批評がEvening Standard紙に出ています。ディドナートを囲んだキャストたちの仲のいい写真もあります(^^)




Il Barbiere di Siviglia

Figaro: Pietro Spagnoli
Rosina: Joyce DiDonato
Count Almaviva: Juan Diego Flórez
Doctor Bartolo: Alessandro Corbelli
Don Basilio: Ferruccio Furlanetto
Fiorello: Changhan Lim
Berta: Jennifer Rhys-Davies

Conductor: Antonio Pappano
Orchestra and Chorus of Royal Opera House

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コメント 4

babyfairy

公演の感想を楽しく拝読させて頂きました。

実はマティルデ・ディ・シャブランを観に行った時にも素晴らしい公演で(喜劇ですから笑いつつも)感動したのですが、今回はオペラ自体がいわゆる定番中の定番でもあり、そこにこれだけのキャストを集めて来たと言う事は、大袈裟かもしれないけれど、ロイヤルオペラも頑張りましたね。

中でも、私もジョイスが続投してくれる事が凄く嬉しいです。これは彼女の頑張りももちろんですが、歌劇場側や演出家、そして共演者達の協力と理解があってこそでしょうね。
by babyfairy (2009-07-09 04:04) 

Sardanapalus

babyfairyさん>
>大袈裟かもしれないけれど、ロイヤルオペラも頑張りましたね。
いやもう、本当に頑張りましたよね。キーンリーサイドがキャンセルしたときも、フィガロどうなっちゃうの~!?と心配しましたが、見事スパニョーリを引っぱってきましたからねぇ。珍しくいいマネジメントをしてくれて驚きました。ディドナートの歌い続けたいという要望にこたえられる共演歌手と演出家と歌劇場の体制も素晴らしいですよね。

今回の公演に関しては、心からロイヤル・オペラに「ありがとう」と伝えたいです。
by Sardanapalus (2009-07-09 18:47) 

keyaki

babyfairyさんのブログでもこのことを知って、どうするのか気になってました。
声の病気ではないので、なんとしてでも出て欲しいですよね。若いから回復も早いですしね。
3年前にヴェローナでスカルピア=ライモンディが初っぱなで転倒した時は、ことなきを得たとはいえ、お年なので心配したことを思い出しました。
骨折って、けっこう数年後に発見ってこともあるんですよね。肋骨とか頭蓋骨とか....捻挫より骨折の方が直りが早いとかってこともあるようですし。
キーンリーサイドのキャンセルは残念でしたけど、突然のキャンセルよりはいいですし、いい公演でよかったですね。車椅子のロジーナなんて見たくても見られないですし.....
by keyaki (2009-07-10 10:07) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>どうするのか気になってました
keyakiさんもでしたか。実際に、この日の公演は色々な意味で楽しみでしたが、その期待を裏切らない素晴らしい出来でした。

>捻挫より骨折の方が直りが早いとか
ディドナート本人のブログによると、関節部分への損傷はないそうですので、おとなしくしていれば6週間くらいで治るそうです。よかったですねぇ。

本当にこの「セヴィリアの理髪師」は舞台裏がどたばたしていますが、質の高い公演が聴けているので結果オーライ、大満足です(^^)
by Sardanapalus (2009-07-10 17:56) 

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