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オペラ「椿姫」 [オペラ(実演)]

去年からかなりの回数コヴェント・ガーデンに通ってますが、ここまでガッカリ度が大きかったのは初めてでした。そんなに怒ってはいませんが、コヴェント・ガーデンでこんな状態のオペラを見なくてはいけないとは、本当にガッカリです。「仮面舞踏会」の初回も主役3人のうち2人が不調でしたが、それでも主役のテノールが絶好調だったので何とか見れました。今回は、主役が駄目だと駄目なのね、という良い例だったと思います。

ヴェルディ:歌劇《椿姫》全曲 今回のは、何年も前から繰り返し再演されている人気演出(ゲオルギュー主演でDVDになってます)の、去年に続いてまたまたの再演の「椿姫(La Traviata)」です。あらすじは、もう言わずもがななので省きます。

実は、このオペラ私は苦手なんです。もう、アルフレードのガキ度が許せない(笑)映像で見てみようと挑戦するたびに、気がつくとツッコミを入れつつリモコンの停止ボタンを押していたのも1度や2度ではありません。でも、今回はこの前「仮面舞踏会」に誘った友達が「オペラなら『椿姫』が見たい!」と言うし、結構王道の演出で見られる機会だったので「見るならこれかな」と思って見に行ったのです。苦手意識を変えてくれるかも、という期待もあったのですが、こんな歌手の出来では余計に「もういいわ」という感じです(^_^;)

まずヴィオレッタ(椿姫)のアナ・マリア・マルティネス(Ana Maria Martinez)がいただけません。絶不調と言っていいでしょう。特に1幕は酷かったです。歌うときも物凄く気合を入れている感じで見ていて疲れるし、ピッチもふらふら。そして、1幕の最後の盛り上がり部分も…なんだなんだ、この高音の不安定さは!と、ハラハラしてアリアを楽しむどころではありませんでした。こんな基本の部分でハラハラするのは「ドム・セバスティエン」初日のフィリアノティ以来だわ~と、おかしなことを思い出しているうちに、短い1幕なんかはあっという間に終~了~。2幕以降はそれなりに持ち直したと思いますが、それでもとても手放しで喝采できるような出来ではありませんでした。

え、アルフレードは?とか、「乾杯の歌」はどうだったの?とか聞かないでください(笑)何せマルティネスに輪をかけて印象が悪かったのがアルフレードのチャールズ・カストロノーヴォ(Charles Castronovo)だったのです。マルティネスは、おそらく本調子ならもっと聞かせてくれそうね、という部分が見え隠れしたのですが、カストロノーヴォはこれで精一杯かしら?という感じだったのです。確かにすらっとしていて、顔もいいし、絵としては大合格なんですけど、声が小さい!ヴェルディのオペラを歌う声じゃないでしょう。こんな声量ではオーケストラやヴィオレッタに声がかき消されてしまって盛り上がらないことこの上ないです。特に、「乾杯の歌」などはガラコンサートでも定番曲ですから様々なテノール歌手で聞いていますが、こんなにパンチ力の無いアルフレードは初めてでした。

これでジョルジュ・ジェルモンも今一だったら怒り爆発でしょうけど、ジェリコ・ルチッチ(Zeljko Lucic)は声に深みもあって、どっしりとした重みのある役作りでとても安定していました。この威厳のある父親のジェルモンにあんなに真摯に頼まれたら、まあヴィオレッタも折れるしかないわね、と納得できる演技と歌でした。音域も上から下まで何の不安も無く歌いきってくれて、名曲にどっぷりと浸れました。って、それが普通であって欲しいのですが(^_^;)彼がいなかったら空中分解しそうな出来の公演初日でしたね。初日の批評はどう出るか…まあ、別に誰の歌手のファンでもないし、「椿姫」も好きなオペラじゃないし、どうでも良いんですけどね。

後、光っていたのは脇役で参加しているヤング・アーティストの歌手3人のうちの2人。前から良く名前を出しているバスのロバート・グリアドウ(Robert Gleadow)はドビニー侯爵、メゾ・ソプラノのリオラ・グロドニカイテ(Liora Grodnikaite)はフローラで、どちらも長身で舞台栄えのするカップルを好演していたと思います。(どっちも凄い苗字ですが、グリアドウはカナダ、グロドニカイテはリトアニア出身です。)特にグリアドウは演技も上手いので、パーティーで他のダンサーや女の子に色目を使ってフローラに睨まれたり、アルフレードとヴィオレッタがいちゃついているのを周りにちくったりしていて、歌の冴えない主役2人を見ているよりも楽しかったです。

とにかく、演出は正に期待通りの正統的な感じでそれなりに楽しめたので、主役の歌手2人が揃って不調だったのはガッカリの上にガッカリでした。このところ色々と話題にでている座席の値段ですが、今回は高い席じゃなくて良かった~と心から思いましたね(笑)流石は人気演目の「椿姫」、久しぶりに超満員の会場で、いつもはすかすかのボックス席も、立見の場所もぎっしりでしたから、私みたいな偏屈な客がこれ以上売り上げに貢献する必要性は無いですが。観客層もいつものマイナーオペラと比べると、ビジネスも兼ねた人たちや、オペラ初心者の着飾った人たちが多かったように思います。隣のおばあちゃんも「はじめて来たのよ、でも楽しめて良かったわ~。」と喜んでいたので、こんな愚痴っているのはアリアの旋律が耳に残るほど聴いているマニアだけでしょうね(笑)帰ってきてからコヴェント・ガーデンのページにあるビデオクリップを聞いて、あまりのクオリティの違いにビックリしましたから(笑)こんな出来で稼ごうなんて、ロイヤル・オペラもワルよのう、と言いたくなります。

珍しく、よっぽど「椿姫」が見たい、という人か、歌手のファンか、これしか選択肢がない人以外にはお勧めしない公演でした。せめて、マルティネスがこれ以降復活してくれると良いですね。


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コメント 8

keyaki

知らない歌手さんばかりだわ。
>Castronovo
すごい名前ですね。ちょっと調べてみましたら、モーツァルトとかネモリーノ、フェントン系のレパートリーが主ですから、レパートリーを拡大していく準備中なんでしょうか。

椿姫はなかなか二人揃うのは稀で、へたすると二人ともなんだかなぁですものね。特にアルフレードの”当たり”はなかなかないようですね。
新国でもすばらしいヴィオレッタと言われたのは、アンドレア・ロストとインヴァ・ムーラのダブルキャストの時だけじゃないかな、で、ムーラは知名度ゼロでしたが、大好評で、オペラファンは大騒ぎで、ちょっとした印旛村フィーバーがおこったくらいです。容姿も◎ですしね。
この二人を聴いてきるので、後に続く公演の歌手さんは、ちょっと気の毒な気もします。

>こんな出来で稼ごうなんて
「椿姫」とか「トスカ」は集客力抜群のようですね。でもそれだけにみんな良く知って思い入れもありますし、なかなか満足のいく公演にはあたらないということでしょうか。
by keyaki (2006-01-17 13:54) 

ロンドンの椿姫

お疲れ様でした。ほんとに怒り疲れちゃったね~。特に私はROHの椿姫は7回目だったから、歌を聴くのだけが目的だったのに。それに友人のご案内だったから途中で帰るわけにもいかなかったし。
でもあの大きな拍手、なんなのよ? お前ら上手なオペラ観たことないのか~?って呆れてしまったわ。

私は次の記事でいままでのROH椿姫比較をするけど、これで最下位は決定。
気分悪~い!

http://peraperaopera.ameblo.jp/
by ロンドンの椿姫 (2006-01-17 19:03) 

dognorah

マルティネスはリハーサルではリラックスしていたのに。初日にずっこけてしまいましたか。多分持ち直すでしょう。
カストロノーヴォはもうROHに呼ばないでほしいですね。
ルチッチはリハーサルで禊を完全に済ませたというところですか。ROHとしてもめっけものですね。
£10のリハーサルで私は得をした気分です。
by dognorah (2006-01-17 19:39) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>知らない歌手さんばかり
マルティネスは売り出し中(NAXOSにアリア集があります)、カストロノーヴォはモーツァルトで活躍している(らしい)、ルチッチはヴェルディのバリトン役で評価を得ている歌手のようです。私も皆さん初めて聞きましたが、カストロノーヴォはもういいかも(^_^;)マルティネスも、トスカで見たいです。どうもちょっと元気すぎる椿姫でした。本当に、有名オペラは出来のよしあしがすぐに分かってしまうし、歌手を揃えるのも大変でしょうね。

>印旛村フィーバー
ダブルキャストでどちらもいい、というのは嬉しいですね!ああ、私もマルティネスには期待していたのに…期待していたから余計にガッカリ度が大きかったですね。私が行かない回に不調になって欲しかった(笑)
by Sardanapalus (2006-01-17 20:53) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
>ROHの椿姫は7回目
ということで、比較記事楽しみにしています。最悪の出来の回にあたってしまうとは、私はこのオペラに縁が無いのかもしれません(笑)好きなオペラじゃないので、まだ怒りの度合いも少なかったですが、プロなんだから初日にちゃんと合わせなさいよ、とマルティネスには説教したいです。

>お前ら上手なオペラ観たことないのか~?
ねえ、あんなに拍手あげちゃ勿体無い!と思っちゃいました。勿論、ルチッチへの大喝采(この日一番大きかった)は納得でしたけど~。


dognorahさん>
>マルティネスはリハーサルではリラックス
dognorahさんがお勧めして下さっていたので楽しみだったんですが、1幕のラストは危うく椅子から転げ落ちるところでした(笑)持ち直していただかないと、彼女もROHでの活躍の場がなくなると思いますよ。

>£10のリハーサルで私は得をした気分
ほんと、こんな歌手のレベルで、しかも再演でこのチケット代の高さは怒り心頭です!
by Sardanapalus (2006-01-17 21:02) 

euridice

>なかなか満足のいく公演にはあたらない
ということかもしれません。新国ではアンドレア・ロストとインヴァ・ムーラの両方観ましたけど、かつて映像で感動したほどの気分の高揚は起こらず、冷めたものでした。

ロストの時は、パパ・ジェルモン(アンソニー・マイケルズ=ムーア)の歌は相当胸に響きましたから、二幕のあの場面はけっこうよかったとか、アルフレート(マッシモ・ジョルダーノ)はかっこいいけど、歌も演技もちょっと初々しすぎる(つまり、こっちは大丈夫?ちゃんとできるかしらってちょっとはらはらしちゃう〜〜〜)んじゃないかしらとか、

ムーラの時は、カニの横歩きとまでは言わないけど、アルフレート(ワルター・ボリンも若くて長身痩躯でオペラ的には相当かっこいい系でしょう)の不器用な動きがおもしろかった(ヴィオレッタを抱いてベッドまで行ったはいいけど、耐えきれずか、けつまづいて彼女を放り出しちゃった・・ベッドの上でよかったね^^")とか・・ 楽しかったですけど。

このテノール氏、ボリンくんはその後「ルチア」にも登場、この時は成長したというか、なかなか様になってまして、当時は「新国のアイドル」(私のオペラ鑑賞仲間の中だけ?)だったんですけど、どうしていらっしゃるのかしら?^^>
by euridice (2006-01-18 08:14) 

Sardanapalus

>>なかなか満足のいく公演にはあたらない
>ということかもしれません
映像やCDで素晴らしいものが残っていたりすると、余計に比べてしまったりして…本当に、全てにおいて大満足のオペラ体験をするのは難しいですよね。歌手の調子も1日1日違うし、好みの問題もあるでしょうし。

euridiceさん、結局どちらのキャストでもアルフレードが(変な意味で)気になってしまったってことですか?(笑)青二才とカニ歩きかぁ~、どちらも楽しそう!(って違いますね^_^;)

>ボリンくん
私は初耳の歌手ですが、去年のヴェローナのアリーナの「ナブッコ」のイシュマエル(トリプル・キャスト)とか歌ってるみたいですよ。これからも順調に活躍の場を増やしていけるといいですね。
by Sardanapalus (2006-01-18 10:39) 

euridice

>アルフレードが(変な意味で)気になってしまったってことですか?

っていうか,ヴィオレッタが期待したほどじゃなかったってことだと思います・・・ プリマドンナとして突出してないというか〜〜
期待過剰だったかも。二人とも前評判高かったし・・・
by euridice (2006-01-18 10:59) 

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